2013/11/11(月)卵をめぐる祖父の戦争

読書「卵をめぐる祖父の戦争」ディヴィッド・ベニオフ 田口俊樹訳 (ハヤカワ文庫NV2011年) 

 原題は「CITY OF THIEVES」。物語はドイツ軍がレニングラードを包囲してロシアを兵糧攻めする作戦をはじめた1942年頃。今は祖父となったレフが味方の兵隊に逮捕され、脱走兵のコーニャと知り合い、大佐の娘が結婚するというので、飢餓状態の街のどこからか卵を1ダース入手してこいと無茶な命令を受け、これを大まじめに実行するコーニャと主人公。

 飢餓状態の悲惨な街の様子やドイツ兵の慰みものになっている少女たちと出会ったりして、ロシアのパルチザンと出会ってドイツ兵と一戦交えたりとか、少女の両足首を切断して「ミザリーかよ」と思わないでもなかったりで、やたらとクソとプッシーとか露骨な表現があって、妙にエロ描写が多い。

 主人公で祖父のレフは、チェスが少々うまい程度で、なんの取り柄もないし、なにかを主張したり率先して行動をせず、コーニャのいいなりになっていて無個性。逆に、誰とでもすぐに打ち解けあって人気者になるコーニャの存在が大きく、そのコーニャの前向きで明るい性格が主導になってて常に状況を打破していくその姿は真の主人公と言ってもいいぐらいで、終始気軽な読み物として読める。

 それにしても、なぜそこまで卵探しに一生懸命になるのかがちょっと理解できない。当時のロシアの状況を知っていれば、そこそこ楽しめるのかもしれない。

 自分としては、二人が寒い冬の土地をあちこちさまよう姿などに「ライ麦畑でつかまえて」とか、女性たちとあれこれするところでは「ノルウェイの森」を連想した。

 この小説は反戦ものという言葉もあるけど、レフは17歳、コーニャは19か20歳で、ひとつの青春小説とも文学とも読める。でも、実のところ、よくわからない小説でもあった。エログロ小説でもある。
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