2013/12/12(木)魔術はささやく

「魔術はささやく」宮部みゆき(新潮文庫1993年)

 平成元年発表作品。

 タクシー運転手のおじさんが女子大生をはねて死亡させてしまう。事件には不可解な点があったことから、高校生の日下守(くさかまもる)が少しずつ調べていく。すると、東京で起きた3つの死亡事故につながりのあることがわかる。

 高校生が行動するというのは一般小説では珍しいか。社会的に弱者の立場だからなのか、彼にはちょっとした特殊技術が付与されており、事件解決の糸口をつかんだり、嫌がらせを解決する手段として発揮される。でも、それで大活躍するというものではなく、ちょっと肩透かしをくらうかもしれない。

 すごく地に足のついたサスペンスだった。ちょっとした群像劇にもなっており、一人の女性にジワジワと死が迫ってくるホラーにもなっている。主要人物の日下守にしても、父親の汚職をネタに執拗な嫌がらせをしてくる同級生がいたり、身近なところで死のにおいのする事件も連続して発生と、どこかサイコな雰囲気も。それらにはすべて理由があるのだけど、ちょっとトンデモ系な仕掛けで、ここでひっかかる部分はあったか。

 日下守は重い業をせおってはいるけれど、彼にはいくつもの居場所があり、支えてくれる家族や友人に知人と、驚くほどに協力者が多いことに自然と気づかされる。
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